深刻な"言語戦争" 3
ベルギーでは戦前、例えばシャルルロア、リエージュの石炭・鉄鋼・繊維など工業でも、政治、文化でも仏語圏が優位を占めてきました。
しかし戦後、北部の発展で地位は逆転しました。
ここ数代の首相がフランドル出身者で占められていることにも、この力の差はあらわれています。
国柄も2つの地域に2分され、統一されたベルギーの料理や文化といったものも見られません。
私はある夜ブリュッセルのレストランで、フランス北部の町リールの新聞編集長に出くわしました。
彼が言うには「劇や音楽を聞きにきたり、食事をしにくるのはパリではなくて、いつもブリュッセル。
車で1時間足らずのここはフランスさ」。
どうもフランス人には、ベルギーを自分たちの庭にみなすような考え方があるように思えます。
実際ここでは実においしいフランス料理を食べることができます。
北部の水の町ブルージュで食べたムール貝のスープやカキのシャンパン煮の味にはとうとうフランスでは出会えませんでした。
ベルギーが損していることの1つは、著名人がみんなフランス人か、オランダ人にみなされてしまうことでしょう。
探偵小説『メグレ警部』のシムノンは、フランス人ではなくベルギー人。
ブリューゲル、ルーベンス、ファン・ダイクらの画家も正確にはベルギー(フランドル)人です。